仕事で使うファイル転送は、送受信の記録、誤送信の対策、パスワードと期限、受信用のURL、ウイルスの検査を備えた法人向けサービスから選び、料金は使う人数とデータの量で比べるのが基本です。
料金の体系は、人数で決まる型、容量で決まる型、送った数で決まる型の3つに分かれます。
記事のポイント
- 法人のファイル転送は、記録が残り会社として管理できるサービスを使う
- 安全性・記録・誤送信の対策・受信・料金の5つの観点で比べる
- 料金は人数で決まる型、容量で決まる型、送った数で決まる型に分かれる
- 顧客から写真や動画を受け取る工程は、受け取り用のサービスに分けられる
仕事で無料の転送サービスを使いにくい理由
個人向けの無料の転送サービスは手軽ですが、会社の仕事で使うと、あとから困ることがあります。
困りやすいのは、次のような点です。
- 誰がいつ何を送ったかを、会社として確かめられない
- 宛先を間違えたあとで、相手のダウンロードを止められないことがある
- 社員が勝手にサービスを選ぶと、情報の管理が部署ごとにばらばらになる
会社が認めていないサービスを社員が独自に使うことは「シャドーIT」と呼ばれ、情報漏えいの原因になりやすいとされています。
また、パスワード付きのZIPをメールで送り、別のメールでパスワードを送る方法は、PPAPと呼ばれて見直しが進んでいます。
暗号化したZIPは、メールの経路にあるセキュリティ製品がウイルスを見つけにくくなり、攻撃に使われた例もあります(出典:IPA 情報処理推進機構)。
個人でも使える無料の転送サービスの違いは、ファイル転送サービスの比較で説明しています。
法人向けファイル転送サービスで比べる5つの観点
法人向けのサービスは、送れる容量だけでなく、会社として管理できる機能がどこまでそろっているかで比べます。
安全性は暗号化とウイルスの検査を見る
通信の暗号化と、保存しているファイルの暗号化の両方に対応しているかを確かめます。
アップロードされたファイルを自動でウイルス検査する機能があると、取引先にウイルスを広げてしまう心配を減らせます。
社外からの不正なログインを防ぐには、IPアドレスの制限や、ログインのたびに使い捨ての認証コードを使う2段階の認証があると安心です。
官公庁や金融機関と取引がある場合は、政府のクラウドの評価制度であるISMAPに登録されたサービスかどうかも判断の材料になります。
送受信の記録が残るかを見る
誰が、いつ、誰に、どのファイルを送り、相手がいつダウンロードしたかが記録に残るサービスを選びます。
記録があれば、宛先を間違えたときも、相手がファイルを開いたかどうかをすぐに確かめられます。
比べるときは、記録を何日分残せるかと、CSVなどで書き出せるかを見ます。
標準では前月分ほどしか残らず、長く残すには有料のオプションが必要なサービスもあるため、社内の規程で求められる期間と照らし合わせます。
誤送信を防ぐ仕組みを見る
情報漏えいの多くは、宛先やファイルの選び間違いから起こるため、人の注意に頼らず仕組みで防げるかを見ます。
誤送信を防ぐ機能には、次のようなものがあります。
- 上長が内容を確かめてから送られる承認の機能
- 相手がダウンロードする前なら、URLを無効にできる送信の取り消し
- ダウンロードされたことを送った人に知らせる通知
- ダウンロードのURLの期限と、受け取る人のパスワード
承認と取り消しの両方があると、送る前と送ったあとの2回、間違いに気づく機会ができます。

取引先から受け取る機能があるかを見る
仕事では、自社から送るだけでなく、取引先から大きなファイルを受け取る場面も多くあります。
受け取り用のURLを発行できるサービスなら、相手はアカウントを作らずに、そのURLからファイルをアップロードできます。
受け取る側の手段を用意しておかないと、相手がPPAPや無料のサービスで送ってくることになり、自社の管理の外でファイルがやり取りされます。
受信用のURLの作り方や容量の比べ方は、大容量ファイルの受け取り方法で説明しています。
料金は人数とデータの量で見る
料金は、月額の安さだけでなく、使う人数と、毎月送るデータの量や回数に当てはめて比べます。
同じサービスでも、使う人が増えたときや、送る量が増えたときに、どこで料金が上がるかが違います。
初期費用がかかるかどうかと、無料で試せる期間があるかも、あわせて確かめておきます。
料金の体系は3つの型に分かれる
法人向けファイル転送サービスの料金は、大きく分けて3つの型があります。
表では、料金がどう決まるかと、どんな会社に合うかを見比べてください。
| 料金の型 | 料金の決まり方 | 合いやすい会社 |
|---|---|---|
| 人数で決まる型 | 使う人1人ごと、またはIDの数ごとに月額がかかる | 使う部署や人数が限られている |
| 容量で決まる型 | 保存できる容量で月額が決まり、使える人数が多い | 全社で使いたい、人数が多い |
| 送った数で決まる型 | 送った件数やデータの量に応じて料金が増える | 月によって送る量の差が大きい |
少人数で始めるなら人数で決まる型、全社に広げるなら容量で決まる型のほうが、1人あたりの負担が小さくなりやすいです。
月末にまとめて請求書を送るように、時期によって量が大きく変わる業務なら、送った数で決まる型も候補になります。
主な法人向けファイル転送サービスの例
ここでは、公式ページで料金と送れる量を確かめられたサービスを例として並べます。
料金の型と、1回に送れる量を見比べてください。
| サービス | 料金の目安(2026年10月時点) | 1回に送れる量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Bizストレージ ファイルシェア | 1GBプラン月16,500円(税込)から | 2GBまで(1GBプランは1GB) | 容量で決まる型、上長の承認と受信の機能 |
| クリプト便 | 1ユーザー月900〜1,000円 | 5〜20MB(オプションで10GB) | ISMAPに登録、承認はオプション |
| GigaCC OKURN | 10IDで月24,500円(税抜)から | 1ファイル100GBまで | 人数で決まる型、受け取りの確認の通知 |
| SECURE DELIVER | 月7,500円(税抜・75通)から | 100GBまで | 送った数で決まる型 |
| オフィス宅ふぁいる便 | 5ユーザー月3,300円(税込)から | 10GBまで | ワンタイムのURLとパスワード |
| Kozutumi | 80名まで月6,600円(税込)から | 2GBまで | 無料プランあり、タイムスタンプで送った内容を証明 |
初期費用が別にかかるサービスもあるため、見積もりの段階で月額と初期費用を合わせた金額を比べます。
送るだけでなく社内のファイルをまとめて保管したい場合は、ビジネス向けオンラインストレージの比較も参考にしてください。
自社に合うサービスを決める手順
候補が多くて決めきれないときは、次の順に条件を書き出していくと絞り込めます。
- 誰に、どのくらいの大きさのファイルを、月に何回送るかを書き出す
- 使う人数と、これから増える見込みを確かめる
- 記録を残す期間や、承認が必要かどうかを社内の規程で確かめる
- 取引先から受け取る場面があるかを確かめる
- 候補を2〜3つに絞り、無料の試用で取引先にも使ってもらう
試用のときは、送る側の使いやすさだけでなく、受け取る取引先が迷わずダウンロードできるかも確かめます。
相手がスマホで受け取ることが多いなら、スマホのブラウザだけで受け取れるかも見ておきます。
ファイル転送のほかにクラウドの共有リンクやメールも含めて送り方を比べたい場合は、大容量ファイル送信の方法で整理しています。
顧客から写真や動画を受け取る工程は分けられる
写真館やイベントの会社、制作の仕事のように、顧客から写真や動画を受け取る工程が多い場合は、送る用のサービスとは別に考えます。
受け取る相手が一般の顧客なら、IDやアカウントを配るより、URLを開くだけで提出できる仕組みのほうが負担が少なくなります。
社外へ送るのは法人向けファイル転送、顧客から集めるのは受け取りに絞ったサービス、と分けると、それぞれの料金も抑えやすくなります。

OmoiBoxでは、顧客にURLとパスコードを伝えるだけで、相手は会員登録もアプリもなしに写真や動画を提出できます。
Proプラン(月2,980円・税込、2026年10月時点)なら、写真と動画をカテゴリーごとに集め、提出期限や差し替えの依頼も設定できます。
\ 受け取りだけを分けるなら /
※FREEプランは0円のまま使い続けられます
法人向けファイル転送についてよくある質問
無料のファイル転送サービスを仕事で使ってはいけないのですか?
使ってよいかどうかは、会社の情報管理の規程で決まります。
規程がない場合も、記録が残らない、送信を取り消せないといった点を理解したうえで、使う範囲を社内で決めておきます。
ファイル転送サービスとオンラインストレージはどう使い分けますか?
一度きりの受け渡しはファイル転送、同じファイルを長く保管して何人かで使うならオンラインストレージが向いています。
ファイル転送は期限が来るとファイルが消えるため、共有したまま放置される心配が少ない方法です。
取引先がPPAPでファイルを送ってきたらどうすればよいですか?
自社で受け取り用のURLを用意し、次からはそのURLにアップロードしてもらうよう伝えます。
受け取る仕組みを自社から示すと、相手もPPAPをやめやすくなります。
送ったあとで宛先の間違いに気づいたらどうしますか?
すぐに送信を取り消してURLを無効にし、記録で相手がダウンロードしたかを確かめます。
ダウンロードされていた場合は、社内の担当者に報告し、相手にファイルの削除を依頼します。
法人向けファイル転送の選び方のまとめ
仕事で使うファイル転送は、記録が残り、会社として管理できる法人向けのサービスから選びます。
比べるときは、安全性、送受信の記録、誤送信の対策、受信の機能、料金の5つの観点で見ます。
料金は、使う人数と送る量に当てはめて、人数、容量、送った数のどの型が合うかを確かめます。
顧客から写真や動画を受け取る工程は、受け取りに絞ったサービスに分けると、相手の負担も料金も抑えられます。
料金や機能は変わることがあるため、契約の前に各サービスの公式ページで最新の内容を確認してください。


