会社の文書を置く基盤は、料金よりも先に、権限の管理、操作の記録、社外との共有のしかたといった要件で選ぶと、導入後のつまずきを減らせます。
一方で、お客様から写真や動画を受け取る工程だけを整えたいなら、文書の基盤とは別に、受け取りに絞った仕組みを用意する方法もあります。
電子帳簿保存法に使うなら、訂正や削除の記録が残るかも確かめます。
記事のポイント
- 社内の文書基盤、社外とのやり取り、素材の受け取りで向くサービスが違う
- 料金は人数で増える型と容量で決まる型があり、人数で有利な型が変わる
- 権限の細かさ、操作の記録、共有リンクの制限を先に確かめる
- 電子帳簿保存法に使うなら、訂正や削除の記録が残るかを確かめる
ビジネス向けを選ぶ前に使う目的を分ける
ビジネス向けのオンラインストレージは、どの業務で使うかによって、重視する機能が変わります。
目的は、大きく次の3つに分けられます。
- 社内の文書を置き、複数人で編集する基盤にする
- 取引先と大きなファイルを安全にやり取りする
- お客様から写真や動画などの素材を受け取る
社内の基盤なら、普段使っている文書作成のアプリとつながるかと、社員の権限を細かく管理できるかが大切です。
取引先とのやり取りが中心なら、共有リンクに期限やパスワードを付けられるか、ダウンロードの記録が残るかを見ます。
素材の受け取りが中心なら、相手がアカウントを作らずに送れるかと、案件ごとに分けて受け取れるかが決め手になります。

お客様から素材を受け取る流れは、仕事の写真共有の記事で手順から説明しています。
法人向けの主なサービスの特徴
法人向けでよく比べられるサービスは、得意なことと料金の決まり方がそれぞれ違います。
表では、容量の扱いと向いている使い方を見比べてください。
| サービス | 容量の扱い(2026年10月時点) | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Google Workspace | 1人あたり30GB〜5TBを組織で共有 | Googleのアプリで共同編集する会社 |
| Microsoft 365 | 1人あたり1TBのOneDrive | WordやExcel、Teamsを使う会社 |
| Box | Businessプラン以上は無制限 | 大きなファイルを多く扱い、権限を細かく分けたい会社 |
| Dropbox | Standardはチーム全体で5TB | パソコンとの同期を多く使うチーム |
| DirectCloud | 容量ごとの定額でユーザー数は無制限 | 社員や取引先のアカウントが多い会社 |
すでにGoogleかMicrosoftのグループウェアを使っているなら、まずはそこに含まれるストレージで足りるかを確かめると、二重に契約せずに済みます。
足りない部分がはっきりしてから、BoxやDropbox、国内のサービスを追加で検討する順番が無駄の少ない進め方です。
料金は人数で増える型と容量で決まる型がある
Google Workspace、Microsoft 365、Box、Dropboxは、1人あたりの月額に人数をかけて料金が決まります。
たとえばBox Businessは、年払いで1人あたり月額1,980円(税込)で、3人から契約できます。
DirectCloudの容量プランは、人数に関係なく容量ごとの定額で、500GBのスタンダードプランが月額44,000円(税別)です。
少人数なら人数で増える型、社員や取引先のアカウントが多いなら容量で決まる型が有利になりやすいため、使う人数で計算して比べます。
Boxはプランで容量とファイルの上限が変わる
Boxでも、Business Starterは容量が100GBで、利用できるのは10人までです。
容量が無制限になるのはBusiness以上で、1つのファイルのアップロード上限もBusinessの5GBからプランごとに上がります。
動画や設計データのように大きなファイルを扱う会社は、容量と一緒に1ファイルの上限も確かめます。
安全面で確かめたいこと
会社のデータを預けるなら、外からの不正なアクセスと、社内からの持ち出しの両方に備えられるかを確かめます。
サービスの安全性を見るときの基本の項目は、オンラインストレージの安全性の記事でまとめています。
権限と共有リンクの設定
フォルダやファイルごとに、閲覧だけ、ダウンロード不可、編集可といった権限を分けられるかを確かめます。
取引先に渡す共有リンクには、次のような制限を付けられると安心です。
- リンクの有効期限
- パスワード
- ダウンロードの禁止
- 相手がダウンロードしたときの通知
あわせて、退職や異動のときにアカウントを止める手順を決めておかないと、使われないアカウントから情報が漏れるおそれがあります。
操作の記録と第三者の評価
誰がいつどのファイルを開き、ダウンロードしたかの記録が残るかと、その記録を何日分保管できるかはサービスによって違います。
公的機関とのやり取りがある会社では、政府のクラウドサービスの評価制度であるISMAPに登録されているかも判断材料になります。
2026年10月時点のISMAPの登録リストには、Box、Google Workspace、Microsoft Office 365、Dropboxの法人向けプランが載っています。
電子帳簿保存法に対応させるときの確認点
請求書や領収書などをメールやWebで受け取った場合、そのデータは電子のまま保存する決まりがあり、オンラインストレージを保存先にする会社もあります。
改ざんされていないことを示すために、次のいずれかの措置が求められます(出典:国税庁 電子帳簿保存法一問一答)。
- タイムスタンプが付いたデータを受け取る
- 受け取ったあと速やかにタイムスタンプを付ける
- 訂正や削除の記録が残るか、訂正や削除ができないシステムで保存する
- 訂正や削除を防ぐ事務処理規程を作って運用する
オンラインストレージを使うなら、3つ目の条件を満たすか、4つ目の規程と組み合わせる形が中心になります。
あわせて、取引年月日、取引金額、取引先で探せるように、ファイル名やフォルダの付け方を決めておきます。
どの方法で要件を満たすかは、税理士や会社の経理担当と相談してから決めます。
パスワード付きZIPの送信から切り替える進め方
ファイルをパスワード付きのZIPにしてメールで送り、パスワードを別のメールで送る方法は、内閣府と内閣官房では2020年11月26日から廃止されています(出典:内閣府 大臣記者会見)。
代わりに、オンラインストレージの共有リンクを送る方法に切り替える会社が増えています。
共有リンクなら、誤って送った場合もリンクを止めれば、相手が開く前に取り消せます。
切り替えは、次の順番で進めると現場が混乱しにくくなります。
- 社外とのやり取りが多い部署で試しに使う
- リンクの期限やパスワードの付け方をルールにする
- 取引先に、受け取り方が変わることを前もって知らせる
- 問題がなければ、ほかの部署へ広げる
公式のツールが使いにくいと、社員が会社の許可のない無料サービスで送ってしまうこともあるため、使いやすさも選ぶ条件に入れます。

1回きりの大きなファイルを送るだけなら、ファイル転送サービスの法人向けプランも選択肢になります。
お客様から素材を受け取る工程だけなら別の仕組みも使える
写真館や映像制作、デザインの仕事では、お客様から写真や動画を受け取る工程が、社内の文書管理とは別に発生します。
お客様にストレージのアカウントを作ってもらうのは手間が大きく、共有フォルダを開放すると、ほかの案件のファイルまで見えてしまうおそれもあります。
会社の文書は法人向けのストレージで管理し、お客様からの受け取りは案件ごとの提出窓口で受ける形に分けると、両方の管理がしやすくなります。
OmoiBoxは、会社の文書を置く基盤ではなく、お客様から写真や動画を受け取る工程に絞ったサービスです。
有料のProプランでは、案件ごとにカテゴリを分けて集められ、提出期限の設定や差し替えの依頼、同じファイルが提出されたときの重複の警告も使えます。
\ 受け取りは案件ごとに /
※無料プランから試せます
ビジネス向けオンラインストレージについてよくある質問
個人向けの無料ストレージを仕事に使ってもいいですか?
会社が使ってよいと決めたサービスかどうかを、先に確かめてください。
個人のアカウントに仕事のファイルを置くと、会社が管理できず、退職時の持ち出しや漏えいに気づけなくなります。
データセンターが国内にあるサービスを選ぶべきですか?
取引先との契約や社内の規程で保存場所の指定がある場合は、国内で保存できるサービスを選びます。
指定がなければ、保存場所だけでなく、権限や記録の機能も含めて比べます。
ファイルサーバーからの移行で気をつけることは何ですか?
フォルダの権限の設計と、移すデータの整理を先に済ませることです。
古いフォルダをそのまま移すと、不要なファイルと誤った権限まで引き継いでしまいます。
少人数の会社でも法人向けのプランが必要ですか?
人数が少なくても、会社としてアカウントを管理できる法人向けのプランを選ぶほうが安全です。
Boxのように3人から契約できるプランもあるため、少人数向けの条件を確かめます。
ビジネス向けオンラインストレージの選び方のまとめ
ビジネス向けのオンラインストレージは、社内の文書基盤、取引先とのやり取り、素材の受け取りのどれに使うかで選ぶ基準が変わります。
料金は、人数で増える型と容量で決まる型を、実際に使う人数で計算して比べます。
権限の細かさ、操作の記録、共有リンクの制限は、契約する前に確かめておきたい項目です。
電子帳簿保存法に使うなら、訂正や削除の記録が残るかと、検索しやすい名前の付け方を決めておきます。
お客様から写真や動画を受け取る工程だけなら、文書の基盤とは別に受け取りの窓口を用意すると、管理を分けられます。
料金や機能は変わることがあるため、導入前に各サービスの公式ページで確認してください。


