お葬式のメモリアルコーナーは、祭壇とは別に、受付の近くや控室などに故人の写真や愛用品を飾り、参列者と思い出を分かち合う場所です。
決まった形はないので、家族で伝えたい故人らしさを1〜2つのテーマに絞り、写真と品物をそのテーマに合わせて選ぶと、短い時間でもまとまります。
飾る物を決める前に、置ける場所と広さ、持ち込める物、搬入できる時間を葬儀社と会場に確かめておきます。
記事のポイント
- 伝えたい故人らしさを1〜2つのテーマに絞る
- 写真はボード・アルバム・映像で役割を分ける
- 大切な原本は家に置き、複製や写真で飾る
- 置ける場所と持ち込める物を先に会場に確かめる
メモリアルコーナーで伝えられること
祭壇の遺影だけでは伝わりにくい、日常の笑顔や趣味に打ち込む姿、職場での顔を、写真や品物で見てもらえるのがメモリアルコーナーです。
参列者どうしが「ここへ一緒に行った」「こんな趣味があったのか」と話すきっかけになり、家族が知らなかった故人の一面を聞けることもあります。
宗教の儀式として決まったものではないので、作るかどうかも、何を飾るかも、家族が無理のない範囲で決めてかまいません。
写真を選んだり説明の一言を考えたりする時間は、家族が故人との思い出を言葉にする時間にもなります。
準備の進め方
メモリアルコーナーの準備は、葬儀の打ち合わせや連絡と同じ時期に重なるので、喪主が1人で抱えず、次の順に家族で分担して進めます。
- 家族で伝えたい故人らしさを話し、テーマを1〜2つに絞る
- 写真や愛用品の候補を集め、親族や友人、趣味の仲間にも持ち寄りを頼む
- 大切な原本や壊れやすい物は、複製や写真に置き換える
- 葬儀社に点数と大きさを伝え、置き場所と備品、搬入の時間を決める
- 飾ったあと2mほど離れて見え方を確かめ、片付けの担当を決める

テーマは「旅行が好きだった」「家族と野球を見に行った日々」「職人として打ち込んだ仕事」のように、故人らしさが一言で分かる言葉にします。
家族の間で意見が分かれるときは無理に決めず、飾らないことも含めて、負担の少ない形を選びます。
借りた写真や品物は、裏や箱に持ち主の名前を書いておくと、返すときに迷いません。
写真の飾り方
写真は、ボード、アルバム、映像のどれで見せるかによって、参列者の見え方が変わります。
| 見せ方 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 写真のボード | 離れた所から何人も同時に見られる | 倒れないよう台や壁に固定し、照明が反射しない角度にする |
| アルバム | ページをめくって、ゆっくり思い出をたどれる | 手に取りにくいので、最初からページを開いて置く |
| 映像 | 動く姿や声、たくさんの写真を見せられる | モニターと電源、音を出せるかを会場に確かめる |
選んだ数枚から数十枚をボードに貼って離れた所から見てもらい、手前にアルバムを開いて置き、横で写真を順に映すと、3つの見せ方が補い合います。
ボードは、中央に穏やかな表情の1枚と名前を置き、左に生い立ちや家族の写真、右に趣味や仕事の写真を並べると、見る人が順に追えます。
写真の大きさを大・中・小と混ぜ、好きだった色を1色だけ台紙やリボンに入れると、落ち着いた中にも故人らしさが出ます。
写真を映像にして会場で流すときの枚数と流れは、お葬式のムービーの作り方で紹介しています。
ボードに貼りきれない写真は、写真を入れておけるデジタルのフォトフレームをボードの横に置くと、順に映して見てもらえます。
\ 飾りきれない写真を順に映す /
故人らしさが伝わる品物
品物は、たくさん並べるより、テーマに合う物を少し選び、使っている姿の写真と一緒に置くと伝わります。
- スポーツが好きだった人は、ユニフォームや道具、トロフィーと、プレーしている写真
- 絵や書、手芸などを続けていた人は、代表作を数点と、打ち込んでいる姿の写真
- 読書が好きだった人は、愛読書を数冊と、好きだった理由を書いたメモ
- お酒が好きだった人は、いつもの銘柄や晩酌のグラス
- 旅行が好きだった人は、旅先の写真やお土産、切符
- 職人や会社員として働いた人は、使い込んだ道具や制服、表彰状
読書の好きだった人の本は、当日に参列者が中を読む時間はないので、どんな本が好きだったかを一言添えます。
大きくて運べない物や、壊れやすいガラスや陶器は、品物を撮った写真で紹介します。
三回忌の法要で写真や愛用品を並べるときの決まりは、三回忌の法要で故人を偲ぶ方法で紹介しています。
説明の一言の書き方
写真や品物の横に短い説明を添えると、ただ並んでいた物が、故人の人柄を伝える場面に変わります。
説明は、2mほど離れても読める大きさで、白い紙に黒い字ではっきり書き、家族の手書きのカードを少し混ぜると温かみが出ます。
生い立ちをまとめる年表は、名前と読み、生まれた年、出身、主な歩み、家族の5行ほどに収め、職場の中だけで通じる言葉は避けます。
写真や年表を立てて置くときは、倒れにくい台に入れると、テーブルの上でも見やすくなります。
\ 年表や写真を立てて置く /
参列者が言葉を書ける場所
メモリアルコーナーの一角にカードとペンを置き、参列者が故人への言葉を書いて貼れるようにすると、見る場所から言葉を寄せる場所になります。
何も書かれていないボードは書きにくいので、家族や孫のカード、子どもの描いた絵を先に何枚か貼っておきます。
集まったカードは、出棺の前に棺に納めると、参列者の気持ちを一緒に持たせて送り出せます。
カードや色紙に書く一言の例文は、お葬式の寄せ書き例文で紹介しています。
写真が少ないときの集め方
長く写真を撮っていなかったり、写真が苦手だったりして、飾る写真が見つからないことがあります。
次の順に探すと、思いがけない1枚が見つかることがあります。
- 故人のスマホの写真
- 家族や孫のスマホに残っている写真
- 紙のアルバムや、届いた年賀状
- 友人や親戚、趣味の仲間が撮った集合写真
- 家族の行事を撮った動画から切り出した場面
見つけた写真を葬儀社や写真店に渡すときは、切り抜いたりスクリーンショットを撮ったりせず、元の写真や元のデータを渡します。
アルバムの紙の写真を何枚もボードに使うなら、1枚ずつ続けて読み取れるスキャナーでデータにしてから焼き増しすると、原本を家に置いたまま飾れます。
\ 原本を残して焼き増しに /
写真がほとんどないときは、直筆の書や手紙、愛用品、好きだった風景の写真と、家族が覚えている出来事を書いたボードで、故人らしさを伝えることもできます。
遺影にする写真の選び方と、葬儀社に渡す時期は、お葬式用の写真の選び方で紹介しています。
会場に確かめることと避けたい物
メモリアルコーナーは自由に作れますが、葬儀会館には安全や衛生の決まりがあるので、飾る前に次の点を確かめます。
- 置ける場所と広さ、参列者の通り道をふさがないか
- 大きな物、壊れやすい物、食べ物、植物の持ち込み
- 台や写真立て、棚を葬儀社と家族のどちらが用意するか
- モニターを使う場合の電源と音の大きさ
- 搬入できる日時と、片付ける時間
飾るのを避けたい物と、代わりの方法は次のとおりです。
| 避けたい物 | 理由 | 代わりの方法 |
|---|---|---|
| 生ものや、においの強い食べ物 | 照明の熱で傷む、においがこもる | 日持ちする焼き菓子や、開けていない缶や瓶 |
| トゲのある花、香りの強い花 | 伝統的に葬儀では避けられることが多い | 好きだった花なら、トゲを取ることを葬儀社に伝える |
| 現金や高価な品、火を使う物 | 盗難や事故のおそれがある | 家に置き、写真で紹介する |
| 住所や電話番号が書かれた手紙 | 多くの人の目に触れる | その部分を隠すか、飾らない |
故人が人に知られたくなかったことが写っている写真や、ほかの人が大きく写っている写真は、飾る前に家族で見直し、写っている人の了解を得るか、その部分を切り取ります。
生きている人と一緒に写った写真を飾ることを気にする親族もいるので、迷う写真は親族と相談して決めます。
葬儀のあとに残す
メモリアルコーナーに飾った物のうち、燃える物は、出棺の前に副葬品として棺に納めることができます。
寄せ書きや手紙、折り鶴、トゲを取った花は納められることが多い一方、金属やガラス、プラスチックの物は納められないので、持たせたい品は写真に撮ってプリントを納めます。
納められる物は火葬場によって決まりが違うので、葬儀社に確かめてから入れます。
持ち帰ったボードやアルバムは、仏壇の横の棚など、直射日光と水回りを避けた場所に飾り、法要や命日に家族で見返します。
法要の時期に親族へ送る言葉は、法要のメッセージ例文で紹介しています。
飾りきれない写真を映像で流すなら
メモリアルコーナーに飾りきれなかった写真も、家族の言葉と一緒に映像にまとめると、会場のモニターで静かに流せます。
オーダーメイドでは、故人の歩みを静かに振り返るスライドショーを、ご家族の写真と言葉をもとに作るお葬式・法要のムービーを制作しています。
基本料金は15,000円(税込、2026年10月時点)で、写真50枚までの編集と完成前の確認が含まれ、コメントの修正や写真の並び替えは回数の制限なく頼めます。
上映できるかどうかと時間は先に会場に確かめ、急ぐときは上映の日時と写真の集まり具合を伝えると、間に合うかを相談できます。
\ 飾りきれない写真も映像に /
※相談だけなら申し込みにはなりません
お葬式のメモリアルコーナーについてよくある質問
メモリアルコーナーは作らないといけないものですか?
作るかどうかは家族が決めてよく、作らない葬儀もあります。
写真1枚と愛用品1つだけを受付に置く、小さな形でもかまいません。
メモリアルコーナーを作るのに費用はかかりますか?
家族が持ち込んで飾るだけなら、基本の料金の中で飾れる葬儀社が多くあります。
飾り付けやパネルを頼むときの料金は葬儀社によって違うので、打ち合わせで確かめます。
準備はいつまでにすればよいですか?
通夜の前に飾れるよう、搬入できる日時を葬儀社と決めて、それまでに写真と品物をそろえます。
飾った写真は葬儀のあとどうすればよいですか?
家に持ち帰って仏壇の横などに飾るか、アルバムにまとめて、法要のときに家族で見返します。
お葬式のメモリアルコーナーの作り方のまとめ
お葬式のメモリアルコーナーは、家族で伝えたい故人らしさを1〜2つのテーマに絞って作ります。
写真はボード・アルバム・映像で役割を分け、品物は使っている姿の写真と一緒に少し選びます。
大切な原本は家に置き、置ける場所と持ち込める物を先に会場に確かめます。
家族が無理のない範囲で、故人らしい場所を作って送り出してください。


