終活の自分史は、生まれてから今までの出来事と、そのとき何を感じ、何を大切にしてきたかを、家族に伝わる物語にまとめたものです。
出来事をすべて書き並べるより、誰に向けて書くかを先に決め、人生の節目と大切な人、伝えたい考え方に絞ると、最後まで書き切れて、家族にも読まれます。
文章を書くのが苦手なら、年表と写真に短い言葉を添えるだけでも、家族が何度も開く自分史になります。
記事のポイント
- 誰に何を伝えるかを最初に決める
- 年表を作り、写真に番号を振って並べる
- なぜ・どう感じた・何を学んだかまで書く
- 文章だけでなく写真や映像でも残せる
自分史とエンディングノートの違い
自分史はエンディングノートや遺言書と混同されやすいですが、目的と書くことがはっきり違います。
| 比べること | 自分史 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 人生の歩みと思いを家族に伝える | もしものときに家族が手続きで困らないようにする | 財産の分け方を決める |
| 書くこと | 年表、出来事、そのときの気持ち、家族への感謝 | 口座、保険、医療や葬儀の希望、連絡先 | 誰に何を渡すか |
| 法律上の効力 | ない | ない | ある(決められた方式で書く) |
| 見直す時期 | 思い出したときに書き足す | 年に1回ほど | 財産や家族が変わったとき |
市販のエンディングノートにも自分史の欄がありますが、数ページのことが多いので、写真と一緒に詳しく残したいなら、自分史は別に作ります。
エンディングノートと自分史をそろえておくと、家族は、手続きの希望の背景にある考え方まで分かります。
自分史を作る5つの手順
自分史が途中で止まってしまうのは、テーマを決めないまま、幼いころから順に思い出そうとするからです。
- 誰に向けて、何のために書くかを決める(子や孫にルーツを伝える、自分の人生を振り返る、など)
- アルバム、日記、手帳、年賀状、卒業文集、賞状など、記憶を呼び起こす資料を集める
- 生まれた年から今までの出来事を年表に書き出す
- 全体を貫くテーマと、時代ごとに入れる話と省く話を決める
- 出来事ごとに、なぜそうしたか、どう感じたか、何を学んだかまで書く

自分の振り返りのためなのか、子や孫に伝えるためなのかで、選ぶ出来事も書き方の調子も変わります。
家族に読んでもらうなら、経歴を並べた自慢話にならないよう、自分の人柄や考え方が伝わる話を選びます。
年表とグラフで人生を見渡す
年表には、大きな転機だけでなく、日々の小さな出来事も、分量の偏りは気にせず思いつくまま書き出します。
物心つく前のことは、親から聞いた話も書いておきます。
選んだ写真に通し番号を書いた付箋を貼り、年表の同じ年の欄にその番号を書いておくと、あとで文章を書くときも、映像にするときも、写真と出来事がすぐにつながります。
写真の裏に貼る付箋は、粘着の強いものを選ぶと、仕分けの途中ではがれ落ちません。
\ 写真に番号を振って並べる /
年表と一緒に、横に年齢、縦に気持ちの充実度をとったグラフを描くと、落ち込んだ時期と、そこからどう立ち直ったかが一目で分かります。

書くときの5つの要素
出来事を「いつ、どこで、何をした」だけで書くと、年表と変わらない平らな文章になります。
- なぜそれを選んだのか、始めたのか、やめたのか
- そのとき、どう動いたか
- 何を感じ、何を考えていたか
- 家族や周りにどんな影響があったか
- その経験から何を学び、そのあと何が変わったか
失敗や挫折の話は、つらい出来事そのものより、何を学んでどう変わったかまで書くと、家族が困難にぶつかったときの支えになります。
思い出を引き出す質問
文章を一から組み立てるのが難しければ、質問に一つずつ答えていくと、自分史の骨組みができます。
| 時期 | 答えてみる質問の例 |
|---|---|
| 幼いころ | 住んでいた家や町の様子は? 好きだった遊びは? 親や祖父母から教わったことは? |
| 学生のころ | 夢中になった部活や習い事は? 始めた理由とやめた理由は? 大きな失敗や挫折は? |
| 仕事と家庭 | 仕事をどう選び、何に苦労した? 配偶者との出会いは? 子育てで大切にしたことは? |
| 好きなもの | 影響を受けた本や映画、音楽、恩師は? 毎日の習慣や好きな食べ物は? |
| これから | 過去の自分に伝えたいことは? 家族に伝えておきたいことは? |
家族や昔の友人に「私はどんな子どもだった?」「私が変わったと思うのはいつ?」と尋ねると、自分では忘れていた話が出てきます。
質問が印刷された書き込み式のノートを使えば、空欄を埋めていくだけで、思い出が少しずつ形になります。
\ 質問に答えて書き進める /
写真で残す自分史
文字がぎっしり並ぶ自分史は、家族でも読み返す機会が少なくなりがちですが、写真を多く入れ、短い出来事や感謝の言葉を添えた自分史は、孫の世代まで繰り返し開かれます。
写真は、家中から集めたあと、紙のまま残す写真、データにする写真、手放す写真に分け、残す写真を年代ごとや出来事ごとに並べます。
着物や道具、実家の柱の傷、庭の花のように、場所を取っていても捨てられない物は、手放す前に写真に撮り、「住まいと暮らし」の章にするのもひとつの方法です。
写真の選び方と、写真に添える一言の書き方は、終活で残す写真の選び方で紹介しています。
台紙に貼って横に手書きできるアルバムなら、年表の年ごとに写真を並べて、そのまま1冊の自分史にできます。
\ 年ごとに写真を貼っていく /
動画で残す自分史
話し方の癖や声の調子、笑ったときの表情は、文字や写真だけでは残せませんが、映像なら残せます。
- スライドショー:写真を年代順に並べ、曲と短い字幕を添える
- ビデオレター:カメラに向かって、家族一人ひとりに感謝を語る
- インタビュー:家族などの聞き手が質問し、半生を語ってもらう
昔のビデオテープや8ミリフィルムがあれば、先にダビングしてデータにしておくと、映像の材料に加えられます。
撮る前に年表に写真の番号を書いて、どの時代を何分で見せるかを決めておくと、あとで直す手間が減ります。
語りかけの撮り方や構成の組み方は、終活の動画の作り方で紹介しています。
家族が聞き手になるとき
親の自分史を家族が手伝うときは、本人に作る気持ちがあるかを先に確かめます。
つらい記憶を思い出すのが負担な人や、自分の過去を形にされたくない人もいるからです。
- 同じ場所、同じ時間帯に続けて話を聞く
- お茶やお菓子を用意して、くつろげる雰囲気にする
- 記憶違いがあっても否定や訂正をせず、最後まで聞く
写真を見ながら昔を語ることは、気持ちの安定や意欲に良い影響があると報告されていて、高齢者のケアにも取り入れられています。
写真の入った自分史は、介護施設に入るときに職員に見てもらうと、本人の人柄や、行動の背景にある昔の習慣を知ってもらう助けになります。
完成した自分史の残し方
冊子にした自分史は、家族の人数分を作っておくと、それぞれの家で見返せます。
データにした自分史や写真は、パソコンだけでなく外付けのSSDにも同じものを入れ、2か所以上に置きます。
外付けのSSDやUSBメモリは、何年も電源を入れないとデータが消えることがあるので、ときどき中身を確かめ、長く残すものは保存用の光ディスクにも書き込みます。
冊子とデータの置き場所は、エンディングノートに書き、信頼できる家族に伝えておきます。
\ 自分史のデータをもう1か所に /
自分史を自分の言葉で映像にするなら
年表と写真、そこに添えた言葉がそろえば、そのまま映像の自分史にできます。
オーダーメイドでは、ご自身のお葬式で上映するために生前に準備するムービーを、写真と言葉をもとに作る終活・お葬式・法要のムービーを制作しています。
基本料金は15,000円(税込、2026年10月時点)で、写真50枚までの編集と完成前の確認が含まれ、コメントの修正や写真の並び替えは回数の制限なく頼めます。
年表に番号を書いた写真から50枚ほどを選び、それぞれに一言を添えて渡せば、その順番で映像にまとまります。
\ 年表と写真を1本の映像に /
※相談のあとで頼むか決められます
終活の自分史についてよくある質問
自分史は何から書き始めればよいですか?
誰に向けて書くかを決めたら、資料を集めて年表を作るところから始めます。
自分史に法律上の効力はありますか?
ないので、財産の分け方を決めたいときは、決められた方式で遺言書を書きます。
文章を書くのが苦手でも自分史は作れますか?
質問に答える形のノートや、写真に短い言葉を添えるアルバム、映像の形なら、長い文章を書かずに作れます。
自分史はどれくらいの分量にすればよいですか?
決まりはなく、伝えたいテーマに合う出来事を選び、大切な時期を厚くして、そうでない時期は短くします。
終活の自分史の作り方のまとめ
終活の自分史は、誰に何を伝えるかを決め、資料を集めて年表を作るところから始めます。
写真に番号を振って年表とつなぎ、入れる話と省く話を選びます。
出来事ごとに、なぜそうしたか、どう感じたか、何を学んだかまで書くと、家族の心に残る物語になります。
文章が苦手なら写真や映像で形にし、完成した自分史は2か所に残して、置き場所を家族に伝えてください。


